補助金#人材開発支援助成金

人材開発支援助成金でAI研修|助成率75%と8月改正【2026年】

ロボットが講師役のAI研修の教室から、押印した申請書類、硬貨が入る豚の貯金箱へと矢印でつながる流れのイラスト
イラスト:AIで作成

この記事の結論

人材開発支援助成金のリスキリング支援コースなら、中小企業のAI研修は経費75%・賃金1時間1,000円が助成対象。8月改正で汎用的なプロンプト研修は対象外に。上限、計画届の期限、不支給パターンを厚労省資料で整理しました。

目次9項目
  1. 人材開発支援助成金とは?AI研修に使える3つのコース
  2. 助成率と上限はいくら?2026年度の早見表
  3. 2026年8月の改正で何が変わった?生成AI研修の線引き
  4. 申請の流れと期限は?計画届は研修開始の1か月前まで
  5. 対象外・不支給になりやすいパターンは?
  6. デジタル化・AI導入補助金とどう使い分ける?
  7. AI研修の費用はいくら?研修を作る側として考えていること
  8. まとめ
  9. よくある質問

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社員のAI研修に人材開発支援助成金を使うなら、本命は事業展開等リスキリング支援コースです。中小企業は研修経費の75%と、研修時間1人1時間あたり1,000円の賃金が助成されます。ただし2026年8月3日以降の計画届では、業務に直結しない汎用的な生成AI研修は対象外になりました。計画届は研修開始の1か月前までに出します。

この記事の数字と要件は、2026年10月1日に厚生労働省の公式ページと、各コースのパンフレット・支給要領(令和8年8月3日版)で確認したものです。助成金は申請ごとに審査され、計画届を出しても支給が約束されるわけではありません。申請前に、事業所を管轄する都道府県労働局で最新の要件を確認してください。

人材開発支援助成金とは?AI研修に使える3つのコース

人材開発支援助成金とは、事業主が雇用する社員に、職務に関連した専門的な知識や技能を身につける訓練を計画に沿って受けさせたとき、訓練経費や訓練中の賃金の一部を国が助成する制度です。所管は厚生労働省で、窓口は都道府県労働局です。AI研修に使える主なコースは、事業展開等リスキリング支援、人への投資促進、人材育成支援の3つです。

検索の面から見ると、この制度への関心は高いままです。ラッコキーワードで2026年10月1日に取得した月間検索数(2024年9月〜2026年8月の24か月平均)は、「人材開発支援助成金」が18,100回、「人材開発支援助成金 リスキリング」が480回でした。「AI 研修 費用」は110回と小さい語ですが、2026年8月の検索数は前年同月の7倍(10回→70回)に増えています。研修の費用を調べる人が、そのまま助成金にたどり着いている形です。

人材開発支援助成金には全部で7つのコースがあります。そのうち、社員にAIの使い方を学ばせる研修に関係するのは次の3つです。

コースどんな訓練向けかAI研修での位置づけ
事業展開等リスキリング支援コース新規事業などの事業展開、社内のDX・GX化、人事・人材育成計画に基づく新しい職務に必要な訓練中小企業のAI研修で最も使いやすい。経費75%・賃金1,000円/時
人への投資促進コース高度デジタル人材の育成、サブスク型研修(定額制訓練)、社員の自発的な受講などITSS・DSS-Pレベル3・4相当の高度な訓練や、研修サービスの定額受け放題を使う場合
人材育成支援コース10時間以上のOFF-JTなど、職務に関連する一般的な訓練上の2つに当てはまらない研修の受け皿。助成率は低め

事業展開等リスキリング支援コースとは、事業展開やDX・GX化に伴って社員が新しい分野の知識・技能を身につける訓練を対象にした、令和4年12月に始まったコースです。厚生労働省のパンフレットでは、令和4〜8年度の期間限定の助成金として作られたと説明されています。生成AIを業務に取り入れるための研修は、多くの場合「企業内のDX化に関連する業務に必要な訓練」として、このコースで検討することになります。

人への投資促進コースも、パンフレット上は令和4〜8年度の期間限定です。このコースの「高度デジタル人材訓練」は、ITスキル標準(ITSS)やDX推進スキル標準(DSS-P)のレベル3・4にあたる訓練などが対象で、エンジニア育成向けの枠と考えたほうが実態に合います。経営者や営業・事務の社員が生成AIを業務で使えるようになる研修なら、まずはリスキリング支援コースの要件に当てはまるかを見ます。

3つのコースに共通する前提条件

どのコースでも、申請する会社は次の条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の適用事業所であること。研修を受ける社員も雇用保険の被保険者であること
  • 職業能力開発推進者を選任していること
  • 事業内職業能力開発計画を作り、社員に周知していること
  • 研修期間中も、受講する社員に賃金を適正に払っていること

職業能力開発推進者とは、社内の研修や人材育成を担当する人を会社が選んで決めておく役割のことで、人事担当の課長などを充てます。事業内職業能力開発計画とは、会社として社員にどんな能力を身につけてもらうかの方針をまとめた社内計画です。どちらも、計画届を出す日までに整えておけば間に合います。

助成率と上限はいくら?2026年度の早見表

中小企業がリスキリング支援コースを使う場合、研修経費の75%と、研修時間1人1時間あたり1,000円の賃金が助成されます。経費の上限は実訓練時間で決まり、10時間以上100時間未満なら1人30万円です。eラーニングは経費だけが対象で、上限は1人15万円に下がります。大企業は経費60%・賃金500円です。

項目事業展開等リスキリング支援コース(中小企業)人への投資促進コース:高度デジタル人材訓練(中小企業)人材育成支援コース:人材育成訓練(中小企業・正社員)
経費助成率75%75%45%(賃金要件などを満たすと60%)
賃金助成(1人1時間)1,000円1,000円800円(同1,000円)
経費の上限(1人1訓練・10〜100時間未満)30万円30万円15万円
経費の上限(100〜200時間未満)40万円40万円30万円
経費の上限(200時間以上)50万円50万円50万円
eラーニング・通信制の場合経費のみ・上限は一律15万円経費のみ経費のみ

大企業の場合、リスキリング支援コースは経費60%・賃金500円、経費の上限は10〜100時間未満で20万円です。人材育成支援コースの「賃金要件など」とは、研修修了後に受講者の賃金を5%以上上げるか、資格等手当を就業規則に定めて支払い、賃金を3%以上上げることを指します。

上限は1人ごとだけでなく、事業所ごとにもあります。リスキリング支援コースは1事業所1年度あたり1億円、人への投資促進コース(成長分野等人材訓練を除く)は2,500万円です。中小企業がAI研修で使う範囲なら、事業所単位の上限に届くことはまずありません。

研修費と時間で試算するとどうなるか

数字の感覚をつかむため、要件をすべて満たした前提で試算してみます。中小企業が社員3名に、1人あたり受講料20万円・実訓練12時間の通学制のAI研修を所定労働時間内に受けさせたケースです。

区分計算金額
経費助成20万円 × 75% × 3名(1人30万円の上限内)45万円
賃金助成1,000円 × 12時間 × 3名3万6,000円
合計48万6,000円

受講料の総額60万円に対して、試算上の助成額は48万6,000円です。同じ受講料でもeラーニングなら、経費助成は1人15万円で頭打ちになり、賃金助成も付きません。3名で45万円です。研修を土日や終業後に入れた場合も、所定労働時間外の時間は賃金助成の対象外になります。

この試算はあくまで上限の計算です。実際の支給額は、審査で認められた実訓練時間や経費で決まります。

2026年8月の改正で何が変わった?生成AI研修の線引き

2026年8月3日以降に出す計画届から、リスキリング支援コースの対象が絞られました。DX化の訓練であっても、職務に間接的にしか必要でない内容や、職種を問わず誰にでも必要な内容は対象外です。生成AIで言えば、業務に結びつかない汎用的なプロンプト研修は外れ、特定の業務に直接使う研修は対象に残ります。

厚生労働省が出した改正のリーフレットでは、生成AIを例に線引きが示されています。要点をまとめると次のとおりです。

研修の中身判定理由
営業担当者が、生成AIで商品提案書の構成案作成・文章生成・修正の方法を学ぶ対象営業担当者の具体的な業務に直結し、そのまま使える内容
生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ対象外特定の業務への具体的な適用を伴わない汎用的な内容
DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ対象外DX化を進めるうえでの共通知識にとどまり、業務に直接適用されない

リーフレットは、判断のポイントを3つ挙げています。特定の職業・職務に必要な知識や技能を習得するものか。マナーやリテラシー、概念の理解にとどまっていないか。訓練内容に合わせて受講する社員を選んでいるか、の3点です。同じ研修でも、受ける人の職務によって判定が変わることがあります。

この「職務に間接的に必要なもの」「職業人として共通して必要なもの」という2つの区分は、もともと対象外の訓練として挙げられていたものです。これまではDX・GX化に関する訓練であれば対象になり得ましたが、8月3日以降の計画届ではその扱いがなくなりました。

eラーニングは1人1年度1回までに

同じ改正で、受講回数のルールも変わりました。リスキリング支援コースで助成を受けられる受講は、もともと社員1人につき1年度3回までです。そのうちeラーニングによる訓練は、8月3日以降に出した計画届の分から1人1年度1回までになりました。eラーニングと通学制などを組み合わせた訓練も、eラーニングの回数に数えます。ここでいう年度は、支給申請日を基準にした4月1日から翌年3月31日までです。

経過措置もあります。研修会社との契約や申込みを2026年8月2日以前に済ませていれば、計画届の提出が8月3日以降でも改正前の扱いになります。社内で講師を招く研修(事業内訓練)なら、講師との契約や会場の発注など、その研修に関わる契約のどれか1つが8月2日以前であれば同じ扱いです。どちらの場合も、契約日や申込日がわかる書類を計画届と一緒に出します。

その前の改正も押さえておく

2026年4月8日にも改正がありました。リスキリング支援コースのeラーニング・通信制の経費上限が、中小企業で1人30万円から15万円に下がっています。同じ日から、全コース共通で、会社と密接な関係にある相手との間の訓練経費は経費助成の対象外です。たとえば代表者の配偶者や3親等以内の親族、親会社・子会社に払う講師謝金や受講料がこれに当たります。

リスキリング支援コースには、2026年度に設備投資加算もできました。研修で実際に使った機器と同種の機器を中小企業が導入し、受講者の賃金を上げた場合に、導入費用の50%が加算されます(受講者1人15万円、10人以上は150万円が上限)。対象は機器や設備を実際に使う実技の訓練なので、ソフトウェア中心のAI研修で使える場面は限られます。

申請の流れと期限は?計画届は研修開始の1か月前まで

申請の流れは「計画届の提出→研修の実施と費用の支払い→支給申請→審査・支給決定」の4段階です。計画届は研修開始日の6か月前から1か月前までの間に、事業所を管轄する労働局に出します。支給申請は研修が終わった翌日から2か月以内です。どちらの期限も、過ぎると取り返しがつきません。

職業訓練実施計画届とは、どの社員に、いつ、どんな内容の訓練を、何時間受けさせるかを、研修の前に労働局に届け出る書類です。人材開発支援助成金は、この計画届に沿って研修したかどうかで審査されます。

ステップ期限主な中身
0. 社内の準備計画届の提出日まで職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定と周知
1. 計画届の提出研修開始日の6か月前〜1か月前職業訓練実施計画届、事業展開等実施計画、対象労働者一覧、事前確認書、カリキュラムや受講案内、研修会社との契約書や申込書の写し
2. 研修の実施計画どおりの日時内容を変えるときは変更届を出す。研修費は支給申請までに全額払い終える
3. 支給申請研修終了日の翌日から2か月以内支給申請書と、受講・支払いを証明する書類
4. 支給・不支給の決定労働局の審査後計画届時ではなく、支給申請後にまとめて審査される

計画届は、窓口への持ち込み、郵送、雇用関係助成金ポータルでの電子申請のいずれかで出せます。郵送は労働局に届いた日が提出日になり、消印は関係ありません。電子申請にはGビズIDが必要です。計画届を紙で出した場合、その後の変更届や支給申請だけを電子申請に切り替えることはできません。

期限の数え方には注意が要ります。パンフレットの例では、研修開始日が7月1日なら計画届は1月1日から6月1日まで、9月30日開始なら3月30日から8月30日までです。「1か月前の同じ日」が締切で、その月に同じ日がなければ前日になります。たとえば11月1日に始まる研修なら、計画届の締切は10月1日です。

人事計画に基づく訓練は、さらに準備が増える

リスキリング支援コースには、事業展開やDX化のほかに、「企業内の人事及び人材育成に関する計画」に基づいて、3年以内に就く予定の別の職務に向けた訓練を受けさせる型もあります。この型を使う中小企業は、計画の内容を事前に認定経営革新等支援機関に確認してもらう必要があります。受講する社員の承諾書を取り、研修後に実際にその職務に就いたかを報告する手順も加わります。管理職研修やリーダーシップ研修は、この型では対象外です。

AI研修で使う場合、多くは「企業内のDX化」の型で足ります。配置転換を前提にした研修を組むときだけ、この型を検討すれば十分です。

研修会社を選ぶときに確認すること

外部の研修会社が主催する研修(事業外訓練)では、研修会社の側にも要件があります。民間の教育訓練機関の場合、計画届を出す日までに、定款や登記簿の事業目的に教育訓練事業が書かれている国内の法人でなければなりません。eラーニングなら、研修会社が自社のホームページで講座の概要や申込み方法を公開し、広く受講者を募っていることも必要です。特定の会社のためだけに作られたeラーニングは対象になりません。

自社で外部講師を招いて社内研修を組む(事業内訓練)場合は、講師に要件があります。たとえば、その分野の講師経験が3年以上ある社外の講師や、実務経験が10年以上ある人です。講師謝金は1時間あたり3万円(税込)が上限です。事業内訓練は、通学制か同時双方向型のオンラインで行う研修に限られ、eラーニングでは使えません。

対象外・不支給になりやすいパターンは?

不支給になりやすいのは、要件の細部を知らずに研修を始めてしまうケースです。計画届を出す前に研修が始まった、計画と違う日時で研修した、社員に費用を一部負担させた、研修会社から返金を受けた、汎用的なAI研修だった、などが典型です。どれも研修後には直せません。

厚生労働省のパンフレットと8月の改正リーフレットから、AI研修で特に引っかかりやすいものを拾うと次のとおりです。

パターン何が起きるか
計画届を研修開始の1か月前までに出していない助成の対象にならない
変更届を出さずに研修日程を変えた計画届の日時で受講時間を数えるため、受講率が足りず不支給になることがある
業務に結びつかない汎用的なプロンプト研修、DXの概念だけの研修8月3日以降の計画届では対象外
買ったツールの操作説明や、コンサルタントによる指導が中身対象外。単に既存のアプリやシステムを購入してその操作方法を習得するだけの研修は対象にならない
社員に研修費を一部でも負担させた賃金助成も含めて不支給
研修会社から返金、キャッシュバック、協賛金などを受け取った受け取った分を含め、その経費は助成の対象外
年次有給休暇を取らせて受講させた適切な方法でない訓練として対象外
土日・終業後に受講させたその時間は賃金助成の対象外
通学・同時双方向型の研修で、受講時間が実訓練時間の8割に届かないその社員は支給対象外
同じ社員に、同じ年度でeラーニングを2回以上8月3日以降の計画届から、2回目以降は対象外

「実質無料」をうたう研修には近づかない

パンフレットには、研修会社などから受け取るお金についての注意が、まるまる1ページ割かれています。対象外とされているのは、研修会社からの入金額と助成金の合計が研修費と同じになる場合です。研修の感想やインタビューに協力した対価として金銭を受け取る場合も対象外です。営業協力費や協賛金など、名目を問わず負担軽減の提案に沿ってお金を受け取った場合も同じ扱いになります。

パンフレットは、助成金を使えば研修を実質無料で受けられると勧誘するスキームが出回っていることにも触れています。研修会社と関係のある第三者から、クーポンや貸付、別の支払いの相殺といった形で便宜を受けることも対象外です。研修費は会社が普通に全額払い、後から助成を受け取る。それ以外の組み立てを勧められたら、いったん止まってください。

審査は支給申請の後にまとめて行われる

令和7年度から、支給・不支給の審査は支給申請後にまとめて行う形になりました。計画届が受け付けられても、その時点で助成対象だとお墨付きをもらったわけではありません。研修の実施中に、労働局の職員が予告なしに会場を訪ねて実施状況を確認することもあります。調査に協力しなければ不支給です。計画、実施、記録の3つがそろっていることが、最後に効いてきます。

デジタル化・AI導入補助金とどう使い分ける?

AI関連の費用は、何に払うかで使う制度が分かれます。社員が身につける研修費は人材開発支援助成金、会社が導入するAIツールやソフトウェアの費用はデジタル化・AI導入補助金です。同じ経費を2つの制度に重ねて載せないことが前提です。

デジタル化・AI導入補助金とは、旧IT導入補助金の2026年度版で、中小企業が登録済みのITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。所管は経済産業省・中小企業庁の系統で、厚生労働省の助成金とは窓口も手続きもまったく別です。詳しい枠や締切はデジタル化・AI導入補助金2026の解説記事にまとめています。

比べる点人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)デジタル化・AI導入補助金(通常枠)
所管厚生労働省(窓口は都道府県労働局)中小企業庁・中小機構(事務局経由)
お金が出る対象社員の研修費と研修中の賃金登録済みITツールの導入費(AIを含む)
水準中小企業は経費75%・賃金1人1時間1,000円補助率1/2、補助額5万〜450万円
事前の手続き研修開始の6か月前〜1か月前に計画届交付決定前の契約は対象外
審査申請ごとに要件を満たしているかを審査し、支給・不支給を決める公募回ごとの申請から採択される
誰と申請するか会社が単独で申請(社労士への依頼も可)IT導入支援事業者と共同で申請
入金のタイミング研修後に支給申請、審査を経て支給導入・支払い・実績報告の後

助成金と補助金の違いは、ここで一度はっきりさせておくと判断が早くなります。人材開発支援助成金は、申請ごとに要件を満たしているかを労働局が審査し、支給か不支給かを決める仕組みです。デジタル化・AI導入補助金は、公募回ごとの申請の中から採択される仕組みで、2026年度の通常枠は交付決定数が申請数の4割台にとどまっています。

組み合わせるなら、ツールの導入費は補助金、そのツールを業務で使いこなす研修費は助成金、という形で経費を切り分けます。どちらも「先に契約・着手したら対象外」という点は共通です。ツールの契約時期と研修の計画届の時期を、同じカレンダーに書き込んでから動くのが安全です。

社員を正社員にする計画があるなら、キャリアアップ助成金も同じ表に並べておきます。人への投資促進コースのパンフレットには、このコースの修了後に正社員化した場合、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の加算対象になり得ると書かれています。キャリアアップ助成金の仕組みはキャリアアップ助成金の解説記事で扱う予定です。

AI研修の費用はいくら?研修を作る側として考えていること

AI研修の費用は、形式で大きく変わります。少人数の対面ハンズオンは1人数十万円、eラーニングはそれより安く、助成金の上限も低くなります。ウラカタの経営者向けClaude Code研修は2日間・実働6時間×2で、1人330,000円(税込)です。助成金の対象になるかどうかは、受講する会社の計画と研修内容の組み合わせで決まります。

僕の会社は、助成金を使う側と、研修を提供する側の両方に立っています。使う側としては、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請を社労士と準備しています。ここで実感したのは、厚生労働省の助成金は「要件を満たせば出る」代わりに、計算の前提を1つ取り違えると全額が消えるということです。賃金の増加率を確かめるときも、パンフレットの「算定に含めることができない手当」の欄まで読み込み、固定残業代を除いた基本給で検算し直しました。

提供する側としては、経営者向けClaude Code研修を、東京・品川の対面、第1期は定員4名で開いています。Claude Codeとは、Anthropic社が提供する、パソコン上のファイルを読み書きしながら作業を進めるAIエージェントのツールです。講座では、会社の記録をAIが読める形で整理し、日々の業務をAIに任せる仕組みを受講者のパソコンに作ります。Claude Codeそのものの使い方はClaude Codeの使い方、費用感はClaude Codeの料金の記事にまとめています。

この講座について、僕は「助成金を使えばいくらで受けられる」という案内をしないことにしています。助成金を受け取るのは受講する会社で、計画届を出すのも会社です。研修を提供する側には、支給を約束する立場がありません。対象になるかどうかも、受講者の職務と研修内容の関係で決まるので、同じ講座でも受講者によって判定が変わり得ます。

そこに8月3日の改正が重なりました。汎用的な生成AI研修が対象外になったことで、「AIの基本を学ぶ」だけの講座は、助成金の前提では売れなくなっています。研修を作る側にとっては大きな変化です。僕の講座は、講師が受講者全員のパソコンを見ながら、その会社の仕組みを2日間で受講者のパソコンに作る形にしています。ただ、それが助成の対象と認められるかは、受講する会社が計画届のカリキュラムで「どの職務の、どの業務に使うか」を説明できるかどうかにかかっています。講座の中身だけで決まるものではありません。

研修会社の要件(定款への教育訓練事業の記載など)も、受講する会社が計画届の前に確認しておく項目です。助成金ありきで申し込むと、要件を一つ満たせなかった時点で予算の前提が崩れます。助成金がなくても受ける価値があるかで判断し、使えたら負担が下がる、という順番で考えてもらうのが一番安全だと思っています。

2027年度以降はどうなるか

事業展開等リスキリング支援コースの75%という高い助成率は、令和8年度(2027年3月31日)までの時限措置です。厚生労働省が2026年8月に公表した令和9年度概算要求の資料では、人材開発支援助成金に602億円(前年度当初予算539億円)が要求されています。その資料に載っているコースの表は、一般訓練・特定訓練などに組み替えた構成で、事業展開等リスキリング支援コースの名前は見当たりません。

概算要求は予算が成立する前の案で、2027年度の助成率や要件はまだ確定していません。わかっているのは、現行の高い助成率を確実に使えるのは2026年度中に支給申請まで終わる研修だ、ということだけです。2026年度中にAI研修を検討しているなら、計画届の1か月前ルールから逆算して日程を組みます。

AIを業務にどう組み込むかの具体例は、Claude Codeの活用事例で紹介しています。

この記事は助成金の支給を保証するものではありません。要件の最終判断は、最新のパンフレット・支給要領と、事業所を管轄する都道府県労働局に確認してください。

まとめ

  • AI研修に人材開発支援助成金を使うなら、本命は事業展開等リスキリング支援コース。中小企業は経費75%・賃金1人1時間1,000円、経費の上限は10〜100時間未満で1人30万円
  • 2026年8月3日以降の計画届では、汎用的なプロンプト研修やDXの概念だけの研修は対象外。受講者の職務に直結する研修は対象になり得る
  • eラーニングは経費のみ・上限1人15万円・1人1年度1回まで。賃金助成まで狙うなら、通学制か同時双方向型のオンライン研修を選ぶ
  • 計画届は研修開始の6か月前〜1か月前、支給申請は研修終了の翌日から2か月以内。研修費は会社が全額払い、返金や「実質無料」の提案は受けない
  • 研修費は助成金、AIツールの導入費はデジタル化・AI導入補助金と経費を分ける。リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置で、2027年度以降は未確定

よくある質問

ChatGPTや生成AIの使い方研修は人材開発支援助成金の対象になりますか?

内容次第です。2026年8月3日以降に出す計画届では、特定の業務への適用を伴わない汎用的なプロンプトの作り方や、DXの概念を学ぶだけの訓練は対象外になりました。営業担当が生成AIで提案書の構成案を作る方法を学ぶように、受講者の職務に直結する訓練であれば対象になり得ます。

社長や役員がAI研修を受けた費用も助成されますか?

助成の対象になるのは、申請する事業所の雇用保険被保険者が受けた訓練だけです。雇用保険に加入していない社長や役員の受講分は対象になりません。社員と一緒に受ける場合は、計画届の対象労働者一覧に載せた被保険者の分だけが助成額の計算に入ります。

オンラインやeラーニングのAI研修でも助成金は使えますか?

使えますが、条件が変わります。講師とリアルタイムで質疑できる同時双方向型のオンライン研修は、通学制と同じく経費と賃金の両方が対象です。eラーニングは経費助成だけで、上限は中小企業で1人15万円、受講回数は8月3日以降の計画届から1人1年度1回までです。

研修費用は先に会社が全額払う必要がありますか?

はい。支給申請までに、訓練経費を会社が全額負担している必要があります。助成金は研修が終わってから申請し、審査を経て支給される後払いです。社員に費用を一部でも負担させると賃金助成も含めて不支給になり、研修会社から返金やキャッシュバックを受けた場合も経費助成の対象外になります。

2027年度以降も同じ条件でAI研修に使えますか?

確実なことは言えません。事業展開等リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、令和4〜8年度の期間限定として作られた制度です。2026年8月公表の令和9年度概算要求ではコース構成を組み替えた案が示されていますが、予算成立前の案のため、来年度の助成率は確定していません。

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