この記事の結論
動画生成AIの料金・無料枠・商用条件を各社の公式で確認して比較しました。Claude Codeから5秒の動画21本を157.5クレジット(約8ドル)で作った実録と、著作権・肖像・広告表示の注意点もまとめています。
目次10項目
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AI動画生成は、2026年10月時点で「撮影できない5〜10秒の素材」を作る用途なら実務に使えます。僕の会社はClaude CodeからHiggsfieldを動かし、1日で5秒の動画21本を157.5クレジット(約8ドル)で作りました。主要サービスの料金と商用条件、使えない場面、肖像と広告表示のルールまでまとめます。
AI動画生成とは?2026年10月時点で何ができるのか
AI動画生成は、文章や画像を渡すと数秒〜数十秒の動画を作ってくれる技術です。2026年10月時点の主要モデルは、1回の生成で2〜15秒ほどの動画を作れます。人物の表情や手の動き、カメラの寄り引きまで指示どおりに動かせる一方、文字や細部はまだ崩れます。「短い素材を作る道具」と考えると判断を誤りません。
AI動画生成とは、テキストや画像の指示から、AIモデルが動画のコマを新しく描き起こして映像を作る技術のことです。入力の違いで、大きく2つの使い方があります。
- テキストから動画: 文章だけで場面を指示する方法です。構図の自由度は高いものの、毎回キャラクターの顔や服が変わります
- 画像から動画: 先に静止画を作り、それを動かす方法です。画像から動画(image-to-video)とは、最初のコマにする画像を渡して、その絵の続きの動きをAIに描かせる生成方式です。顔や背景がぶれにくく、仕事で使うならこちらが基本になります
さらに、最初と最後のコマを両方指定できるモデルもあります。開始・終了フレーム指定とは、動画の最初と最後のコマに使う画像を両方渡し、その間の動きだけをAIに作らせる指定方法です。同じ画像を両方に渡せば、終わりが始まりにつながる「ループ動画」になります。後で書く実録では、この方法で待ち受け画面のループを作りました。無料枠でどこまで試せるかと、ループの継ぎ目の確かめ方は画像から動画を無料で作る方法と実測にまとめています。
もう1つ押さえておきたいのが料金の単位です。多くのサービスは円やドルではなく、クレジットで課金します。クレジットとは、生成AIサービスが月額プランや追加購入で付与する利用ポイントで、モデル・秒数・画質ごとに消費量が決まっているものです。同じサービスの中でも、モデルを変えるだけで1本の費用が10倍近く変わります。
無料で使える動画生成AIはどれ?無料枠・透かし・商用の条件
無料で試せるのはKling、Runway(初回のみ)、Higgsfield(一部のモデル)、Canvaなどです。ただしKlingは無料で作った動画を商用に使えず、RunwayとHiggsfieldは無料の出力に透かしが入ります。仕事に使う動画は、透かしなし・商用可の条件がそろう有料プランで作るのが前提です。無料枠は「自分の用途で絵が動くか」を確かめる試作に使います。
2026年10月6日に各社の公式ページで確認した、無料枠の要点です。
| サービス | 無料で試せる範囲 | 無料の出力の透かし | 無料で作った動画の商用利用 |
|---|---|---|---|
| Kling(公式) | 月額0ドルのBasic。毎月の付与クレジットはなし | 透かしの除去は有料会員の特典 | 不可。非会員は生成物にKling AIのブランドとロゴの表示が必要 |
| Runway | 初回だけ125クレジット | あり(透かしなしはStandard以上) | 制限なし(全プラン) |
| Higgsfield | 一部のモデルだけ使える。クレジットは付かない | 全生成に透かし | 規約上、プランを問わず制限なし |
| Canva | 無料プランを含む全プランで画像から動画を作れる | 公式で確認できず | AI製品規約と利用規約に従えば可。独占的な権利は得られない場合がある |
気をつけたいのは、透かしが後から消えないことです。Higgsfieldのヘルプには、有料に切り替えても無料のときに作った動画の透かしは消えず、作り直しが必要だと書かれています。無料で作った試作を、そのまま本番に流用する使い方はできません。
僕の会社は、本番用の動画を最初から有料のPlusプランで作りました。Kling 3.0の5秒・音なしで1本7.5クレジット、付与分で割ると約0.37ドルです。この単価なら、無料枠の回数や透かしを避ける工夫に時間をかけるより、有料で作ったほうが安く済みました。8サービスの無料枠の詳しい比較と、無料で作るときの手順は画像から動画生成AIの無料枠比較と実測にまとめています。
AI動画生成の料金はいくら?主要サービスの比較【2026年10月時点】
主要サービスの有料プランは、月10〜60ドル前後から始まります。ただし1本あたりの費用は、モデル・秒数・画質で大きく変わります。商用利用の条件もサービスごとに違い、Klingは有料会員のみ、RunwayとHiggsfieldはプランを問わず商用を制限していません。Dreaminaの規約は原則として私的・非商用の利用を想定しています。
2026年10月1日に各社の公式ページで確認した内容を表にしました。金額はドル建て・税抜きです。
| サービス | 料金(月額・公式) | 商用利用の条件 | 1回の尺 | 解像度 |
|---|---|---|---|---|
| Higgsfield | Starter 19ドル/Plus 59ドル(年払いなら月47ドル) | 規約上、全ユーザーの商用利用を制限しない。無料の出力には透かし、有料は透かしなし | モデルによる(Kling 3.0は秒数を指定、Veo 3.1は4・6・8秒) | モデルによる |
| Kling(公式) | Standard 8.8ドル(初月6.99ドル)/Pro 32.56ドル/Premier 80.96ドル/Ultra 159.99ドル | 有料会員は商用利用可(Klingと競合するサービスの開発への利用は不可)。透かしの除去も有料会員の特典 | Kling 3.0は3〜15秒 | 720p・1080p・4K(1080p/4Kは有料会員) |
| Google Veo 3.1 | Gemini APIで1秒0.40ドル(4Kは0.60ドル)。Fastは0.10〜0.30ドル、Liteは0.05〜0.08ドル。無料枠なし | 利用経路ごとの規約による。Googleの生成AI追加規約に商用可否の明記は見当たらず | 4・6・8秒 | 720p(既定)・1080p・4K(1080pと4Kは8秒のみ) |
| Runway | Standard 15ドル(年払いなら月12ドル)/Pro 35ドル/Max 95ドル。無料は初回125クレジット | 全プランで商用の制限なし。無料の出力には透かし | Gen-4.5は2〜10秒(Standard以上) | Gen-4.5は720p |
| Dreamina | 料金表は今回、公式で確認できず | 規約(2026年1月22日発効)は「原則、私的・非商用」。商用は追加の条件で許される場合だけ。有料プランで商用可とする明記は見当たらず | 記載しない | 記載しない |
Kling(公式)は、月額のほかに毎月のクレジットが付きます。Standardが660、Proが3,000、Premierが8,000、Ultraが26,000です。Google AIのサブスクで使う場合、日本の料金はGoogle AI Proが月2,900円(Flowクレジット1,000)、Ultraが月14,500円からです。
Higgsfieldの料金は、公式の中でも表記が分かれています。表の金額は、僕が10月1日に料金ページで見た表示です。一方、Higgsfieldの公式ブログが2026年10月5日に出した料金比較の記事は、Plusを月49ドル・1,000クレジット、Ultraを月129ドル・3,000クレジットと書いています。料金の確認日を9月11日とする別の公式記事では、Starterが月15ドル・200クレジット、Plusの年払いが月39ドルです。僕のアカウントは月59ドルで、1,200クレジットの付与でした。Plusの月額をブログの49ドル・1,000クレジットで割っても、僕の59ドル・1,200クレジットで割っても、1クレジットは約0.049ドルになるので、1本あたりの費用の目安は変わりません。ただし月額そのものは食い違っているので、契約の画面に出る金額を自分の目で確かめてから申し込んでください。
2026年に起きた変化3つ
- OpenAIのSoraは終了しました。 公式ヘルプによると、SoraのWeb版とアプリは2026年4月26日に提供を終え、Sora APIも9月24日に終了しています。比較記事でまだSoraを勧めているものは、情報が古いと判断してください
- Kling 4.0は10月に正式公開の予定です。 公式ブログでは、3〜30秒の生成に対応し、9月28日から一部のユーザーに先行提供が始まっています
- Higgsfieldは「無制限」がCLIに効きません。 料金ページには、プランの無制限モデルと無料生成はWeb版だけで、MCPやCLIでは使えないと明記されています。Claude Codeから動かす場合は、毎回クレジットを消費する前提で予算を組みます
1本の費用はモデル・秒数・画質で変わる
Higgsfieldのコマンドラインツール(CLI)には、生成せずに費用だけを見積もる機能があります。2026年10月1日に実行した結果がこちらです。
| モデル | 条件 | クレジット |
|---|---|---|
| Kling 3.0 | 5秒・標準画質・音なし | 6.25 |
| Kling 3.0 | 5秒・高画質(pro)・音なし | 7.5 |
| Kling 3.0 | 5秒・高画質(pro)・音あり | 10 |
| Kling 3.0 | 5秒・4K・音なし | 30 |
| Kling 3.0 | 10秒・高画質(pro)・音なし | 15 |
| Google Veo 3.1 | 8秒(既定) | 32 |
| Google Veo 3.1 Lite | 既定 | 12 |
| Seedance 2.5 | 1080p・5秒 | 60 |
| Seedance 2.5 | 1080p・10秒 | 120 |
同じ5秒でも、Kling 3.0の音なしとSeedance 2.5の1080pでは8倍の差があります。音を付けるだけで2.5クレジット増えるので、後から別の音声を載せる素材は「音なし」で作るのが節約の基本です。
Claude CodeからHiggsfieldを動かした実録|5秒21本で157.5クレジット
僕の会社は2026年9月30日の1日で、Kling 3.0の5秒動画を21本作り、157.5クレジットを使いました。翌10月1日の撮り直し2本を足すと、23本・172.5クレジットです。作ったのは、自社で開発中のアプリに出てくるキャラクターの動画です(アプリの公開前なので、名前と中身はまだ伏せます)。Claude Codeがプロンプトを書いて生成し、コマを抜き出して検品するところまで担当しました。
何を作ったのか
アプリの画面で、キャラクターが話しかけてくる5秒のループ動画が必要でした。ループ動画とは、最後のコマが最初のコマにつながり、繰り返し再生しても継ぎ目が見えない動画のことです。待ち受けのほか、話しかけ方や表情の違う動きを合わせて7種類です。
人が演じて撮影するには、特殊メイクと撮影の手配が必要になります。CGで作れば、制作会社への外注になります。5秒の動きを7種類だけ欲しい場面は、AI動画生成がいちばん向いている使い方でした。
画像から動画を作る方法(今回のやり方)
本番用の動画は、すべて画像から作りました。文章だけで作ると毎回キャラクターの顔が変わり、7種類を並べたときに別人に見えるからです。やり方は3段階です。
- 基準の静止画を1枚決める: 画像生成AIで顔・服・背景を固めます。動画の縦横比(今回は縦長の9:16)に合わせておくと、後の切り出しが減ります
- 開始と終了のコマに画像を渡す: 同じ画像を両方に入れるとループ動画、別の画像を入れると「Aの姿勢からBの姿勢へ」移る動画になります
- 動きは文章で指示する: 何がどう動くかに加えて、「カメラは固定」「顔と背景は最初の画像のまま」のように動かさないものも書きます
静止画の作り方から仕上げまでの細かい手順は、画像から動画を作る手順と実測に書きました。
Claude Codeに任せた手順
Claude Codeとは、Anthropicが提供する、ファイルの読み書きやコマンドの実行までAIに任せられる作業用のツールです。HiggsfieldにはCLIがあるので、Claude Codeから直接コマンドを打たせることができます。流れは次の通りです。
- 費用の見積もり: 生成の前に
higgsfield generate costで消費クレジットを確認します - 基準の静止画づくり: 静止画モデル(GPT Image 2.5とNano Banana Pro)でキャラクターの顔を固め、表情違いのコマを作ります
- 動画の生成: 基準の画像を最初と最後のコマに指定して、Kling 3.0で5秒の動画を作ります
- 検品: 動画を1コマずつ画像に書き出し、Claude Codeが口元まで拡大して確認します
- 仕上げ: 動画編集用のコマンド(ffmpeg)で音声トラックを外し、アプリ用の画面サイズと形式に変換します
実際に打ったコマンドは、次のような形です(プロンプトは省略しています)。
higgsfield generate cost kling3_0 --prompt "..." --mode pro --sound off --duration 5
higgsfield generate create kling3_0 --prompt "..." --start-image ./master.png --end-image ./master.png --mode pro --sound off --aspect_ratio 9:16 --wait
作業ごとに、Claude Codeへ「このタスクは80クレジットまで」のような上限も渡しました。上限があると、検品で不合格が続いたときに勝手に何十本も撮り直さず、報告して止まってくれます。
キャラクターの方向性を決める段階では、作風の違う4案を2〜3本ずつ動かして見比べました。静止画だけでは分からない「動いたときの怖さ」を確かめるためです。幅広い年代の人が見る画面なので、ここで最もやわらかい印象の案を選びました。
費用の内訳
数字は、制作ログの記録とHiggsfieldのアカウント残高で突き合わせたものです。
| 段階 | 日付 | 生成本数 | クレジット | 採用 |
|---|---|---|---|---|
| 方向性の比較(4案) | 9月30日 | 10本 | 75 | 本番には使わず |
| 本番:動き3種類 | 9月30日 | 5本 | 37.5 | 3本 |
| 本番:待ち受け・話しかけ3種類 | 9月30日 | 6本 | 45 | 4本 |
| 撮り直し:表情の強い1種類 | 10月1日 | 2本 | 15 | 1本(差し替え) |
| 動画の合計 | — | 23本 | 172.5 | 7本 |
動画の前に作った静止画(基準の顔と表情違いのコマ)は、別に71.5クレジットでした。アカウントの残高は1,200から928.5に減っています。差の271.5のうち27.5は別件の静止画で、残りの244がこのキャラクターの制作分です。
円やドルに直すと、どのくらいでしょうか。僕のアカウントは月59ドルのPlusプランで、1,200クレジットが付与されていました。この比率で割ると1クレジット約0.049ドル、5秒の動画1本(7.5クレジット)は約0.37ドルです。動画23本で約8.5ドル、静止画を含めたキャラクター制作の全体でも約12ドルでした。
不採用になった動画と、その理由
本番用の13本のうち、採用は7本です。撮り直しを含めると、採用1本あたり約1.9本を生成した計算になります。不採用の理由は、ほとんどが「一瞬だけ起きる崩れ」でした。
- 肩の後ろに、正体不明の白い物体が途中で現れた
- 手を振る途中のコマで、爪が白く塗ったように見えた
- 表情の強い動画で、上下の歯を食いしばったように見えるコマが121コマ中およそ30コマあった
- 最初の約1.5秒、口を閉じたまま話し始めなかった
どれも再生すると5秒の中の一瞬で、見落としやすい崩れです。全コマを並べて数えたのは、アプリの画面で「歯をむき出すキャラクター」は怖すぎるからでした。プロンプトに「真剣さは眉と目だけで出す、唇はゆるめ、上下の歯を合わせない」と足して撮り直したところ、該当するコマは3か所まで減りました。
ループの継ぎ目は、最初と最後のコマの似ている度合いを数値で確かめました。SSIMとは、2枚の画像の明るさ・コントラスト・構造を比べ、1に近いほど同じ画像だと判定する類似度の指標です。採用した動画は0.95〜0.98で、目で見ても継ぎ目は分かりませんでした。
ほかにも、実際に回して分かった細かい事実がいくつかあります。
- Higgsfield経由のKling 3.0は、最初と最後のコマ以外の参照画像を受け付けません。表情の指定は、画像ではなくプロンプトの言葉で行いました
- 出力は1076×1928ピクセルでした。アプリ用に1080×1920へ拡大して切り出しています
- 1回、送信が「no response received」で失敗しました。このときはクレジットは減っていません
- 静止画モデルの1つが、上半身の素肌を理由に不適切な画像と判定して生成を止めました。別のモデルに切り替えて回避しています
- CLIは作業スペースを選んでいないと全コマンドが失敗します。ログインし直した後は
higgsfield workspace setで選び直す必要があります
Claude Codeの基本的な使い方はClaude Codeの使い方に、ほかの業務での活用はClaude Codeの活用事例にまとめています。
AI動画生成が使える場面・使えない場面は?
使えるのは、実在しない人物や風景、撮影に費用がかかる短いカットです。使えないのは、文字やロゴを正確に見せたい場面と、実在の人物を本人のように見せる場面です。前者は画質の問題、後者は権利の問題なので、プロンプトを工夫しても解決しません。迷ったら、AIには「絵」だけを作らせ、文字や人物の部分は別の方法で用意します。
| 場面 | 向き・不向き | 理由と対処 |
|---|---|---|
| 架空のキャラクター・人物の短いカット | 向く | 撮影やCGより大幅に安い。ただし全コマ検品が前提 |
| 背景・風景・イメージカット | 向く | 人物より崩れが目立ちにくい。広告の背景素材に使いやすい |
| 商品が少し動くカット | 条件つき | 商品の形やラベルが崩れやすい。実物の写真を最初のコマにして動きを小さくする |
| テロップ・価格・ロゴ | 向かない | AIに文字を描かせず、後から編集ソフトやコードで重ねる |
| 実在の人物(有名人・社員・お客様) | 原則使わない | 本人の同意がなければ使わない。同意があっても表示ルールに従う |
| 実際の出来事の再現 | 向かない | 事実と誤認させるおそれ。各媒体で開示の対象になる |
僕の会社では、静止画を作るプロンプトに毎回「文字なし、ロゴなし」と書いています。AIが描いた看板の文字やロゴは、読めない文字列になったり、実在のブランドに似てしまったりするからです。文字が必要な動画は、AIの素材の上に後から文字を重ねる流れに固定しています。
もう1つの判断基準は「何秒の動画が欲しいか」です。比較表の通り、1回の生成は長くても10〜15秒ほどです。30秒の広告動画を作るなら、5秒前後のカットを複数作ってつなぐ作業が必ず発生します。この「つなぐ」部分は、AI動画生成ではなく編集ソフトの仕事です。
実在の人物や社員の顔を使ってもいい?肖像と同意のルール
本人の同意なしに、実在の人物の顔や声をAI動画に使ってはいけません。各サービスの規約が禁じているうえ、日本でも2026年8月に法務省が、生成AIによる肖像や声の無断利用についての解釈指針を公表しました。社員やお客様でも同じです。使うなら、用途・期間・退職後の扱いを書面で取り決めてからにします。
動画生成AIは違法?著作権・肖像権で問題になるケース
動画生成AIを使うこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。問題になるのは、作った動画が既存の作品や実在の人物の権利を侵す場合です。ここでは文化庁が2024年7月31日に公表した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」で確認できた範囲を書きます。法的な助言ではないので、個別の判断は弁護士などの専門家に確かめてください。
- 著作権侵害になるのは「似ている」と「もとにした」がそろったとき: 資料では、侵害の要件として既存の著作物との類似性と依拠性の両方が必要だと整理しています。プロンプトに作品名やキャラクター名を入れると、既存の作品を知っていたと推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなるとされています
- 作るのと使うのは別に判断される: 個人が私的に使う目的で生成するだけなら、許諾なく行える場合があります。一方、インターネットでの配信などの利用は、権利が制限される範囲の外になる場合が多いとされています。広告やSNSに出す前に、既存の作品と似ていないかを確かめる必要があります
- 他人の画像を起点にするときは要注意: 既存の作品と似たものを作る目的で画像を入力する場合は、権利者の許諾が必要になる場合があるとしています。画像から動画を作るときは、起点の画像の出どころが問われます
- 肖像は著作権とは別の問題: 実在の人物の顔や声は、著作権ではなく肖像やパブリシティ権の問題になります(この後の法務省の指針で触れます)
資料は、依拠性がないことを説明できるように、生成に使ったプロンプトなどの記録を残すことも勧めています。この後に書く僕の会社のルールで制作ログを必須にしているのは、こうした説明に備えるためでもあります。
サービスの規約と国の指針、僕の会社のルール
まず、サービス側のルールです。Higgsfieldは、本人の許可なく他人の画像をアップロードして使うことを規約で禁じています。肖像権や商標権を侵害しない責任も、ユーザー側にあると明記しています。Klingも、商用で使う前に肖像権・氏名権・著作権・広告規制・AI生成の表示ルールを利用者自身が確認するよう求めています。
次に、法律側の動きです。パブリシティ権とは、有名人の氏名や肖像が持つ「客を引き寄せる力」を、本人が独占的に使える権利のことです。法務省は2026年8月7日、「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」の取りまとめ報告書を公表しました。副題は「生成AIによるパブリシティ権侵害等に関する解釈指針」で、生成AIで肖像を無断利用した場合の損害賠償や差止めの考え方が整理されています。
僕の会社がキャラクター動画を作るときのルールは、次の3つです。
- プロンプトに実在の人名・作品名・キャラクター名を書かない(「〇〇風」も使わない)
- 参照画像は自社で作った画像だけにする(他社の画像やネットで拾った写真を渡さない)
- 制作ログを残す(プロンプト、参照画像、生成回数、採否の理由を日付つきで保存する)
3つ目の制作ログは、後から「どうやって作ったのか」を説明できるようにするためです。今回の23本も、採用と不採用の理由をすべて記録しています。
社員の顔を学習させる機能(HiggsfieldのSoulなど)を使う場合は、同意の範囲を細かく決めておきます。どの媒体に、いつまで使うのか。退職した後は削除するのか、公開済みの動画は残すのか。口頭の「いいよ」だけで始めると、退職のときに必ず揉めます。
広告に出すときのAI生成表示ルールは?Meta・Google・TikTok
主要な広告媒体は、どこもAI生成の表示ルールを持っています。TikTokは写実的なAI生成広告にラベルか注記を求めます。Metaは政治・社会問題の広告で開示を義務づけ、外部ツールで作った素材も自動で検出してラベルを付けます。Googleは2026年7月から、AI生成の画像・動画広告にラベルを入れる仕組みを用意しました。
2026年10月1日に各社の公式ページで確認した内容です。
| 媒体 | 対象 | 広告主がやること |
|---|---|---|
| TikTok | AIで大きく編集した素材、完全にAIで生成した素材、本人がしていない動きや発言をさせた素材 | AIGCラベルを付けるか、注記・字幕・透かし・スタンプで明示する。未開示のAI生成コンテンツが見つかると、広告は却下または制限される。公人の肖像や声を許可なく使うこと(偽の推薦など)は制限 |
| Meta(Facebook・Instagram) | 社会問題・選挙・政治の広告で、写実的な画像・動画・音声を外部の生成AIで作成・編集した場合 | 広告主が開示する。2026年6月1日からは、外部の生成AIツールで作成・編集された広告素材を自動で検出し、「この広告について」に「AI情報」のラベルを表示する |
| Google広告 | AIで生成・加工した画像・動画広告 | 2026年7月から、クリエイティブに直接ラベルを入れるか、AIラベルの設定を使える。EU・インド・ニューヨークの規制では表示が必要。選挙広告は別途、合成・改変コンテンツの開示が必須 |
| YouTube(通常の投稿) | 実在の人物がしていない言動、実際の出来事の改変、起きていない写実的な場面 | YouTube Studioのアップロード画面にある[属性]の[AIの使用]で「はい」を選んで開示する |
Metaは、自社の生成AI機能で作ったり大きく編集したりした広告画像にも「AI情報」のラベルを付けています。写実的な人物のAI画像の場合は、広告の上部、「広告」の表示の横にも出ます。一方で、政治や社会問題に関係しない一般の広告をHiggsfieldなど外部のツールで作った場合、2026年10月時点のヘルプではこのラベルの対象外とされています。つまり、商品広告のAI素材をどう見せるかは、いまのところ広告主側の判断に委ねられています。
日本向けの一般的な商品広告で、政治や選挙に関係しないものなら、Metaの開示義務の対象にはなりません。それでも、広告に出す前に3つだけ確認しておくと安全です。
- その素材は、実在の人物や出来事に見えないか
- 見えるなら、媒体の開示機能を使ったか、画面内に注記を入れたか
- 生成したサービスのプランは、商用利用が認められたものか
なお、Googleの動画生成モデルVeoで作った動画には、SynthIDが入ります。SynthIDとは、Googleが生成AIの画像や動画に埋め込む、目に見えない電子透かしのことです。画面上は見えなくても、AI生成であることを後から識別できる仕組みです。
Remotion・CapCut・画像生成とはどう使い分ける?
AI動画生成は「撮れない絵」を作る道具で、動画を完成させる道具ではありません。文字や数字を正確に動かすならRemotion、撮った素材や生成した素材を切ってつなぐならCapCut、静止画で足りるなら画像生成AIを使います。僕の会社では、1本の動画の中でこれらを組み合わせるのが普通です。
| やりたいこと | 向く道具 | 理由 |
|---|---|---|
| 実在しない人物・キャラ・風景を動かす | AI動画生成(Higgsfield、Kling など) | 撮影もCGも不要。5〜10秒の素材向き |
| テロップ・グラフ・価格を正確に動かす | Remotion | コードで描くので文字や数字が崩れない |
| 撮影した素材をカット・字幕入れ・BGM | CapCut | 編集の手作業を下書きの段階まで自動化できる |
| 広告バナー・サムネイル・SNS画像 | 画像生成AI・Canva | 静止画は動画より安く、修正も速い |
Remotionの使い方はClaude CodeでRemotionを動かして動画を作る実録に、CapCutの下書きを自動化した話はClaude CodeでCapCutの下書きを作る実録に書きました。静止画については、gpt-image-2の使い方と料金とCanva AIとClaudeでカルーセルを作った実録を参考にしてください。
組み合わせ方の例を1つ挙げます。まず画像生成AIでキャラクターの顔を固めます。次にAI動画生成で5秒の動きを作ります。最後にCapCutやRemotionで文字と音を載せます。AI動画生成には、真ん中の「動き」の部分だけを任せるのがいちばん失敗が少ない使い方です。
こうした制作の流れをClaude Codeにまとめて任せる設計は、弊社の支援内容の1つです。詳しくはウラカタのサービス一覧をご覧ください。
まとめ
- AI動画生成は、2026年10月時点で「撮影できない5〜10秒の素材」を作る用途なら実務に使える
- 料金はモデル・秒数・画質で大きく変わる。Kling 3.0の5秒・音なしは7.5クレジット、Seedance 2.5の1080p・10秒は120クレジット
- 僕の会社の実測では、5秒動画23本が172.5クレジット(約8.5ドル)。本番用は13本作って7本を採用した
- 文字・ロゴ・実在の人物はAIに描かせない。人物は書面の同意、広告は各媒体の表示ルールに従う
- 動画を完成させるのはRemotionやCapCut。AI動画生成には「動き」の部分だけを任せる
よくある質問
AI動画生成は無料でも使えますか?
試すだけなら無料枠のあるサービスで使えます。ただし仕事に使うなら有料プランが前提です。Klingは商用利用を有料会員に限っています。RunwayやHiggsfieldは無料でも商用を制限していませんが、無料の出力には透かしが入ります。使う前に各サービスの規約を確認してください。
AI動画生成で作った動画を広告に出しても大丈夫ですか?
商用利用できるプランで作り、他人の顔・声・作品を使っていなければ出せます。ただし媒体ごとにAI生成の表示ルールがあります。TikTokは写実的なAI生成広告にラベルか注記を求め、未開示なら却下・制限です。Metaは政治・社会問題の広告で開示を義務づけ、AIの使用を自動で検出してラベルを付けます。
動画生成AIを使うのは違法ですか?
使うこと自体が直ちに違法になるわけではありません。文化庁の資料では、著作権侵害になるのは既存の作品と似ていて(類似性)、かつその作品をもとにした(依拠性)場合とされています。生成した動画を配信などに使う前に既存の作品と似ていないか確かめ、プロンプトに作品名やキャラクター名を入れないのが基本です。個別の判断は専門家に確認してください。
自分や社員の顔をAIに学習させて動画を作ってもいいですか?
本人の明確な同意があれば作れます。HiggsfieldのSoulのように本人の顔を学習させる機能もありますが、Higgsfieldの規約は本人の許可なく他人の画像を使うことを禁じています。社員の場合は、使う範囲と期間、退職後の扱いまで書面で同意を取ってから使うのが安全です。
AI動画生成とRemotionやCapCutはどう使い分けますか?
撮れない絵が欲しいときはAI動画生成、文字や数字を正確に動かしたいときはRemotion、撮った素材を切ってつなぐならCapCutです。AI動画生成は文字の描写をあてにできないので、テロップや価格表示はコードや編集ソフトで後から載せるのが確実です。
AI動画生成1本あたりの費用はどれくらいですか?
僕の会社の実測では、Higgsfield経由のKling 3.0で5秒・音なしの動画が1本7.5クレジットでした。Plusプランの付与分で割ると約0.37ドルです。本番用は7本を採用するまでに13本生成したので、撮り直しを含めた採用1本あたりの実費は約1.9倍でした。
引用元・参考にした記事
- Kling VIDEO 3.0 Credit Cost: Pricing & Credits Guide
- Kling AI Terms of Paid Service
- AI Image and Video Pricing from $12/month
- Why Is There a Watermark on Higgsfield, and How to Remove It
- How Do Higgsfield Plans Work?
- Free online image to video AI generator
- 7 Top-Tier AI Video Plans Serious Filmmakers Actually Pay For in 2026
- Credits vs Unlimited Plans for AI Video Generation in 2026: Pricing and Services Explained
- AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス
- AIと著作権について